遥か5000年の歴史を超えて
「漆喰(しっくい)」とは、消石灰を結合剤とする塗り壁またはモルタルのことで、その歴史ははるか5000年を遡ります。
エジプトのピラミッド、ローマの都、そして万里の長城を組積するとき、モルタルとして使われてきたものも漆喰でした。古代ギリシアの時代からローマ、ルネッサンス、そして近代ヨーロッパへと脈々と継承されてきたフレスコ絵画の伝統も、漆喰の材料と施工技術のエッセンスといえます。
漆喰という言い方は、中国広東省で石灰のことを「Suk-wui」と呼ぶといい、江戸時代に使い始めたといわれています。
日本においても、築城ブームの到来と共に、海草糊を使用する独特の工法が開発され、耐火性、耐候性にすぐれた仕上げ材として、日本の建築文化を長い間支えてきました。
明治維新の後も、煉瓦造や木摺りの上に何層も塗り重ねる本漆喰の工法として、洋館造りの内外装に使用されました。 |